プロローグ

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プロローグ

 絶対にだれにも言えないひみつの話。  おかしなことかもしれないけれど、笑わないでほしい。変なこと言っているのは、私が一番わかってる。でも、だから、知っていてほしい。そして、出来れば、理解してもらいたい。  私は、気づくと未来にいるの。朝起きると昨日と変わらないのに、カレンダーを見ると何年も経っているの。まだ、小学生のはずなのに、制服を着て学校に行くの。着ることがないと思っていた制服を着ているの。私は、どこか違う世界に行ってしまった気がするの。私は、きっとこの世界の住人ではない。不思議な世界にいるの。  私が、知らないことをみんなは当たり前のように知っているの。それを知らないのは、私だけ。私が知らないうちにいろんなことが起きていてみんなが変わっている。なのに、私は過去に取り残されているみたい。まるで、突然未来に飛ばされたみたい。私だけが一人ぼっち。きのうと同じで一人ぼっちで寂しい気持ちがよみがえってくる。  それに、未来に来てから、あまり覚えてられないの。きのうまでの記憶は鮮明に覚えているのに、会話が終わるとなんの話をしていたのか思い出すことができない。いつもの様に思ったことを記録してきたから、未来に飛んできたことがわかった。でも私は、もしかしたら、記憶の病気になってしまっただけなのだろうか。ママとパパには話せない。がっかりされたくないから。自慢の娘でいるために隠していないといけないと思う。だから、これらのメモも、ごみ箱に捨てるんだ。  ゴミ箱には、似たようなことが書かれた紙がいくつも入っていた。私は、何年もここに居るのだろうか。実感はないけれど、そうなのだろうか。これが何か夢であることを祈りながら、ねることにした。あしたも朝が早いから。
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