(二)

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 それからさらに二週間経ったある日。鈴乃の元に解雇通知が届いた。  鈴乃は、会社の都合でクビにされた。それは、姿を確認できない鈴乃の存在が会社にとってよくないと思っての判断だった。鈴乃に、とってそれはとても残酷な通告だった。会社の都合だと言って会社は、保証もしてくれると約束してくれた。だから、鈴乃はそれを受け入れることしかできなかった。  鈴乃は、もともと就職なんてする必要はなかった。けれど、就職も進学も何もしなければ自分の居場所がなくなってしまうような気がしていた。  幼いころから、勤勉で優秀だった鈴乃が進学を選ばなかったのは、新しいことを記憶できないことに負い目を感じていたからだ。大学でどんなことを研究するにも事前の知識と言うのが大切だと鈴乃は、思っていた。専門学校に進学しても記憶することができない自分は、なんの技術も身に着けられないと鈴乃は、思っていた。鈴乃は、役に立てないのに両親から学費を払ってもらうことが嫌だった。鈴乃は、自分のためでなく大切な妹たちのためにお金を使ってほしいと思っていた。  ただ、本当に未来に来ているだけだという証拠があれば鈴乃は、進学することを選んだことだろう。実際に鈴乃は、未来に飛ばされてしまったわけではない。そして鈴乃は、なんとなく理解していた。だから、記憶できなくなったことを理解して都度都度メモを取るなどして対応していた。それに鈴乃の意識が続いている間は、記憶がなくならないことも理解していた。よって仕事をすることには何の支障もなかった。鈴乃が記憶できないということで会社に損害を出させたこともなかった。  だからこそ、理由も原因もなにもわからない不思議な出来事が理由で解雇されたという事実は辛いものであった。  鈴乃の両親は、鈴乃のことを励ました。そして妹たちの勉強を見てあげて欲しいと鈴乃に頼んだ。鈴乃は、それを受け入れた。妹たちは、姉と長く一緒にいられるようになったことを心の底から喜んだ。  
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