(三)

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 夕方になると、二人の高校時代の友人である真友が訪ねてきた。夕乃は、せっかく真友が来てくれたのだから、一緒に写真を撮ったり、思い出話をしたいと思っていた。  「ねえ、れい。真友ちゃん来たから、写真撮ろう。」 とほんの数分まで話していた鈴乃に話しかけた。  けれど、夕乃に返事が聞こえなかった。と言うよりも、全く鈴乃の姿が見えなかった。夕乃は、まあでも、どっかに出ててるだけですぐ戻ってくるだろうなと思って、「真友ちゃん来たから私たちのところに来てほしい」とメッセージを送って真友と世間話を始めた。  夕乃は、それでも一時間経っても姿が見えない鈴乃のことを不思議に思った。  「ねえ、鈴乃の見かけた。なんか急に見えなくなっちゃっただけど」 と夕乃が言った。  真友は、困惑した。なぜなら、真友には鈴乃の姿がはっきりと見えていたからだった。真友は、こんなに近くにいる鈴乃の姿が見えていないという夕乃の発言が理解できなかった。  「冗談だよね。」  「いないよね。」 と夕乃が言った。  『真友ちゃん、私は、さっき帰ったことにしてくれない。ちょっとドッキリしかけてるからさ。お互いに。お願い』 と鈴乃が言った。  真友は、一度鈴乃に向かってうなずくと夕乃に目を合わせた。  「鈴乃ちゃん。帰ったよ。さっき。なんか用事でもあったんじゃない。」  「そっか。」 と夕乃は言った。  普段の夕乃なら、違和感に気づくだろうが、初めて口にしたお酒のせいでそれが自然なことだと思ってしまった。
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