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翌朝、夕乃は、目を覚ますとやっぱり不自然なことに気がついた。お酒の所為でいるはずの人を認識できなくなるなんてやっぱりおかしなことだと思った。夕乃は、決して飲み過ぎていなかったし、泥酔だってしていなかったはずだった。だから、お酒の所為にするのは無理があるのだと思った。
そして夕乃は、あの時一緒にいて写真を撮った真友に聞くことにした。夕乃は、あの時のことを思い返せばあの質問をした時の真友の態度に対して違和感を抱いた。だから、真友と話せば何かわかるのかもしれないと思った。夕乃と真友は電話で話したことはない。だから、メッセージアプリで電話ができるかをたずねた。真友は、電話してもいいと答えた。
「もしもし、真友ちゃん。」
「もしもし、夕乃ちゃん。なにかあったの。」
「特にはないんだけどさ。聞きたいことがあって。」
「なんの話。わかることなら、話すけど。」
「あのさ。鈴乃のことなんだけど。」
「鈴乃ちゃん何かあった。」
「うん。私の誕生日の時、途中で帰ったって言ったよね。」
「うん。それがどうしたの。」
「あのさ、真友ちゃんがあげてた写真にいないはずの鈴乃が写ってるんだけど。あの写真って合成でもしたのかなって思ってさ。」
「え、何言っての。そんなことしてないよ。それに鈴乃ちゃんずっといたよね。二人でドッキリしてるから、いないことにしてほしいって言われただけだから。」
「え。なんて。」
「電波悪かったかな。ドッキリし合ってたんでしょ。鈴乃ちゃんが言ってたよ。」
「そんなことしてた覚えないんだけど。」
「待って、私に二人でドッキリかけてるんだよね。鈴乃ちゃんいたよね。」
「そんなことしてないけど。鈴乃は、最初はいたよ。でも真友ちゃんが来た頃から私見てないんだけど。」
「うそ、あんな近くにいて見えてないなんてことある。」
「れい近くにいたの。いつ。」
「ずっと。私たちが話している間はずっと一緒にいたよ。」
「わかった。ありがとう。」
と言って夕乃は一方的に電話を切った。
何が起きていたのかはわからない。ただ、得体のしれない不気味さが残っていた。夕乃は、いたはずの鈴乃が急に見えなくなったことに不気味さがあった。
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