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夕乃は、その理由を探るためには、実際に鈴乃に会う必要があると考えた。電話やビデオ通話ではいけない気がした。夕乃は、また親にはとやかく言われそうだと思っていたが、週末帰ることにした。
土曜日の朝、家を出て実家へ向かった。そしてお昼頃になって、最寄り駅に着いた。最初は、実家に行こうと思った。けれど、今すぐ鈴乃に会いたいと思う気持ちが強くなって、鈴乃に電話をかけた。
「もしもし、れい。今どこにいる。」
「今は家にいるよ。」
「ねえ、家に行ってもいい。今から。」
「どうだろう。お父さんとお母さんに聞いてみるね。」
「わかった。」
「また、後でかけ直すね。」
「待ってる。ありがとう。」
と言って二人は通話を終えた。
夕乃には、自分の心臓の鼓動が痛いと感じるほど強くドクドクと響いていた。夕乃は、不安だった。自分の仮説が間違っていてほしいと心の底から願っていた。そして、今断られて確かめることもできなくなるのではないかとも思っていた。それなら、それでいいのかもしれないけれど、どうしても気になってしまった。
そしてあの通話を終えて十五分ほど経って鈴乃から夕乃のスマートフォンに着信があった。
「もしもし、ゆう。いいって。」
「そうなの。ありがとう。今から向かうからあと15分くらい。」
と言うと夕乃は電話を切った。
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