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第2章 不自然な出来事
夕乃は、大学2年生になった。そして鈴乃は、社会人2年目となった。
夕乃も鈴乃も会えなくなってしばらくは、寂しくてたまらなかった。それでも夕乃が実家に戻らず、頑張っていられたのは、鈴乃のおかげである。鈴乃がもっていくことを許してくれた小学生の頃から毎日続けた50冊以上にも及ぶ交換日記が心の支えになった。そして、毎日お互いに近況を報告しあっていったからだった。
それから、一年経った今はすっかり二人とも今の生活に慣れていた。夕乃にも学部や学科が同じで仲良くなった友達や、バイトやサークル活動で知り合った友人も多くいた。
だから、最初の頃のように週末のたびに親に来てもらったり、自分が帰ったりをしていない。一人暮らしを始めてから二か月以上たった夕乃誕生日に「そんなに頻繁に帰ってくるのなら、もう一人暮らしをやめなさい」と母から言われた。そのことをきっかけに、寂しくても大学の方で頑張って戻ってこないようになった。そしてそれを誤魔化すためにも社交的になった。だから多くの友達ができた。
いくら新しい友達ができたとしても夕乃にとっての一番の友達は、鈴乃であった。誰よりも鈴乃のことを信頼していた。祖父母は、遠くに住んでいて兄弟のいない夕乃にとっては、同い年の鈴乃は、両親の次に身近な存在だった。だから、代わりのきかない大切な存在だった。
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