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(一)
今日、鈴乃は、二十歳の誕生日を迎えた。
鈴乃は、誕生日にも関わらずいつもと同じように仕事へ出かけていった。
鈴乃は、職場について同僚に挨拶をした。
「おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。」
「おはよう。今日もよろしくね。今日誕生日だよね。おめでとう。何歳になるんだっけ。」
「ありがとうございます。今日で20歳になります。」
「じゃあ、もう今日から、お酒も飲めるんだね。今度飲みに行こう。」
「はい。今度行きましょう。」
「じゃあ、準備して仕事始めようか。」
「はい。」
そして鈴乃は、またいつも通りに仕事を始めた。
鈴乃は、退勤時間になったので同僚に声をかけて帰ることにした。いつもだったらみんなと一緒に残業をするけれど、両親から今日はお祝いで親戚にも来てもらうんだから早く帰ってくるように言われていた。だから、今日残業することはできなかった。
「お先に失礼します。」
と鈴乃はあたりに聞こえるような大きな声で言った。
けれど、それに返事はもらえなかった。年度初めの忙しい時に自分だけ残業しないで先に帰ろうとしているから、怒らせてしまったのかもしれないと思って帰りにくく感じた。それでも帰らないわけにもいかなかったから、明日は頑張ろうとタイムカードをきって職場を後にした。
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