隣家の女

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 夜になって、彼女と娘は黒と白の蝶が舞うのを眺めている。いくぶん激しく舞っているように見える。  彼女は黒い蝶の羽に、より黒い斑点を見つけた。彼からの合図に違いない。彼の長男が蝶に気づいたのだろうと察した。白い蝶の羽に、より白い斑点をつけて知らせることにした。  娘は気づかない。  彼は帰ってきた白い蝶から知った。長男には秘密にすることにした。  長男は黒い蝶を贈ることができない悔しさを、勉強に励むことで解消している。またたく間に学年で一番の成績になった。  その評判を聞いた隣家から子どもたちに勉強を教えてもらいたいと頼まれた。長男は快諾し、隣家に毎日教えにいくことになった。
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