隣家の女

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 彼は隣の家から新婚の挨拶を受けた。  隣の家の男は何度も顔を合わせていたが、新妻は実に初々しい。  彼の心に春が来た。  毎日が、お花見のようなものになると彼は喜んだ。  夜になると、闇にまぎれて花を愛でるように黒い蝶が舞う。  しばし羽を休めているのだが女は気づいていない。  翌朝、新妻は出勤する夫を見送っている。  黒い蝶は夜に備えて休んでいる。  新たな日常が始まる。  彼は暖かなまなざしで彼女を眺めている。
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