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そうだそうだと自分の中で自己完結し、重たい段ボールを持ち直す。
いい加減腕が疲れてきた頃だ。
「重い・・・多分もうすぐな筈なんだけど、あ」
タイミングよく風紀室と書かれた室名札が見えた。
やっと着いた。よくここまで迷子にならず辿り着いた俺に拍手!・・・さっさと済ませて帰ろ。
と思ったが考えてみろ。
俺は風紀室に入らないといけないではないか。
入らないとダメかなー?知らない場所に入るって相当勇気がいると思う。
外に置いておくのは・・・流石にダメだよね。
中に重要書類があるかもしれない。
置いてくのはできないな。
そろそろとドアに近づき耳を当てる。
中に人は、居るよね?
中から人の声やら、ガタゴト聞こえるので、一安心。ちゃんと人はいる。
行くか。
と意気込んだところで、
「君、ここで何してるの?」
「へっ」
横から美青年が現れた。
そしてふと思う。
もしかして見られてた?
聞き耳立ててるところとか、明らかに不審者行為じゃん!何してんだ俺!
「え、あ、ふ、不審者じゃない、です!」
「うん、分かってるよ。」
「え」
「その段ボール、届けに来てくれたんでしょ?」
「あ、はい、そうです。」
話が早くて助かる。不審者扱いされずに済んだ。
煌びやかな雰囲気を出す美青年の左腕には風紀と書かれた腕章がついている。
あぁ、そういこと。
「風紀のお方?」
「そうだよ。あと、因みに君とはタメだよ。」
「マジか。てかタメって言葉使うんだ。」
「少し気が楽になったでしょ」
「うん、ありがと。」
接し方からして大人っぽかったから、年上かと思った。余計に汗かいた。
よく見たら1年の青ネクタイをつけていた。
「重かったでしょ、もらうよ。」
「あ、ありがとう」
人生に一度もやったことなんかないが、どこぞのオトメゲームの王子様のようなお方だ。
さっと横から段ボールを取られ、彼は軽々く持った。
重たい筈なのに・・・いや、俺が貧弱なだけか・・・
少し悔しくなった。
「疲れたでしょ、よかったら休んでいく?」
「あ、いや、大丈夫。もう帰るから。」
「そっか、またね。気をつけて。」
「うん、じゃあね。」
手を振り返して、風紀室前から立ち去る。
無事届けることができてよかった。
同い年の人とも知り合えたし。
・・・あ、そういえば、名前聞くの忘れてた。
名前知らずに普通に話してたわ。
でとあんな美青年、潤也と並ぶほどだけど、見かけたことない。
同い年なのは確定として、違うクラスだよね。
今度会ったら名前聞いてみよ。
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