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お昼、食堂へ来た。
「ねぇ、潤也、」
「いらん」
「これ、」
「断る」
「たべ、」
「自分で食べろ」
「ちょ、最後まで言わせてっ」
「食べてくれませんか」なんて言う隙もなく拒否してくる潤也。
俺が持っているスプーンには紫色の物体が。
あぁ、恐ろしい。
俺なす好きじゃないんだよね・・・なんで入ってんの?
「なすが入ってる自体おかしい」
「それ野菜カレーだろ」
うどんが主食の俺。今日は違うものを挑戦しようと野菜カレーにした。
でも、あの時俺は何故普通のカレーではなく野菜カレーにしたのか、理解できなかった。
野菜カレーになすが入っているとは知らず・・・いや考えればわかることだった・・・はぁ・・・
好き嫌いは激しい方ではない、食にあまりこだわりがないってだけで。野菜の中ではなすが嫌いだ。食感も匂いもなんかダメっていうかさ。
っていうか、俺がなすを苦手になった原因はなす嫌いな誰かさんになすを毎度毎度食べろと押し付けられたからだ。
「なす・・・」
仕方ない、水で押し込もう。
コップを手に取り、なすを入れ口に水を含んだ時、
「「きゃあああああああああああ!!!!」」
ものすごい大きな歓声が響いた。
「っ!っぶ!がはっ、げほっ、ごほっ、ごほっ、、」
それに驚き俺はむせた。
え、なになに?急になんなのさ!
むせていると、潤也が呆れた様子で背中をさすってくる。
「何してんだ、大丈夫か」
「あ、りがと、ごほっ、こほっ、っ」
なんかおじいちゃんになった気分。でも助かったや。
危なくなす飛び出るとこだった。小さいなすでよかったすんなり飲み込めたし。気管に水が入ったけど。
さっきのはなんだったんだ。急に超音波が、耳おかしくなりそうだった。
「生徒会が来た」
「あぁ、それで・・・凄いわけだ」
咳が落ち着いて一安心。
生徒会は学園のすごい人が所属してて、ランク?投票?ランキングで決まっている。語彙力足りん。
あの歓声みたいなのは入学式以来だが、本当彼らの人気ぶり?親衛隊は高い声を出してる。どこから出してるか知らないけど、喉潰れないん?
あと、生徒会が来る時、くるぞ、くるぞ、って合図してほしい。耳栓スタンバってないと、死ぬわ。
生徒会らしき集団を目で追う。
食堂なんて来るの見かけたことない。俺の想像じゃウーバー◯ーツとかで頼んで配達させてそうな感じある。
・・・ん?どこ向かってる?
目で追っていてふと疑問に思った。
彼らが向かう先には、
「・・・アフロ、眼鏡」
手を振るアフロ眼鏡の人物が。相手は生徒会の誰かさん。誰かは知らないけど。
転校生だよね?田中が言ってたアフロで眼鏡で、明るそうな?
「おい、よそ見するな。早く食べろ。」
潤也に指摘されて、前を向く。
俺がちんたらしている間に潤也はもう食べ終わっていたようだ。早い。
さっさとなすを処理してしまおう。
***
と食べ進めてたったの数分しか経っていない時、完食まで進んでいたところ、
「「ぎぃゃやあああああああああああああ」」
と突然食堂に悲鳴に近いものが響いた。
え、今度は何?悲鳴じゃん
何事?かと思い、周りの目線の先を見てみれば、転校生?と生徒会のお方だろうか、美形なお方がいて、
「え」
それを見て俺は硬直する。
何故なら彼らは、KISSをしてたからだ。
カチャン
驚きのあまり、スプーンを落としてしまった。
数分の間に何があったと言うのか。
あぁ、これ見ちゃあかんなやつ。・・・見たくもなかったやつだ・・・
彼らから目を逸らす。
はは、彼ら男ぉ・・・そうだここはただの男子校ではないんだっけ・・・
内心そう嘆きながら、服にカレーが飛んでついてたので拭く。潤也ティッシュありがと。でも取れないや・・・俺の一張羅が・・・
「すぐ洗ったほうがいい」
「・・・うん」
食堂退出。
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