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「春くん。珍しくパーカを着てないね。どうしたんだい?」
「・・・汚した」
「エッ!汚した!?・・・誰に!?」
「誰でもねーよ!!!汚されたじゃないから!!!カレーついたんだよ!!!」
こいつ何言ってんだ!誤解を産むような発言するな!大声だしたからクラスメイトの視線が痛いだろ!!!
バサバサバサっ
田中がさっきの授業終わりに集めたプリントをバラバラと落とした。
手の力が抜けたのか、腕は上がったまま。茫然とし顔だけがこちらを向いていた。
「しょ、処●喪失」
「何言ってんだ田中。」
慌てて駆け寄って来た田中が俺の両肩を掴む。
「あ、相手は誰?、合意なし?ネクタイの色は?」
なに、俺、事情聴取されてんの?だとしたらめっちゃ地獄すぎる。こんなの生き恥だ。
「佐々木様に報告しなきゃ」
誰に言うつもりだ!
田中の口は止まらない。
「顔は?身長は?あと、ひに、んぐっ」
「一回黙ろうか。」
田中の口に手のひらを押し付ける。
こいつは何を言っているんだ。何を勘違いしている。俺をなんだと思っている。男なんだが。
「落ち着いたなら、よーく聞けよ。・・・お前もだよ、尾田大和。」
「おぉ、フルネームで呼ばないで、離婚でもする気かい?」
「・・・(無視)。服は昼に食べたカレーがついただけ。分かった?」
「りょーかい」
「す、すみません・・・、早とちりしたよ、ふぅ」
早とちりがすぎる。
ササっと落としたプリントを拾った田中は教室を出て行った。それにしてもなんであんなにも慌てていたんだろ。茶色い封筒のこともあるし、なんか、怪しい・・・
「で、お前何しに来た。帰れ。」
「聞いといて帰れってなくないかい?」
やれやれ困ったお坊ちゃんだ。ってさっきからお前そんなキャラじゃないだろ。鳥肌。
皆は尾田大和を覚えているだろうか。
ほら、田中が言っていた、1-3の変人。
5限目の授業終わった瞬間こっちにやって来た。
「いや〜教室の前通りかかったら、春くんが珍しくパーカ来ていなかったからねぇ」
「マジでそれだけかよ。お陰で疲れた」
「まぁ、他にも言わなきゃいけないことはあるんだけどさ」
「なに?」
「俺のクラスに転校生来たって、田中から聞いたろ?」
「あぁ、うん」
転校生って聞くと、食堂で見た光景が頭をよぎる。
「気をつけろよ。転校生には。」
そう真剣そうに言う尾田に目が丸くなる。
「ど、どうした?眉間に皺寄ってるぞ」
「そーゆー顔してんだよ!真剣なんだぜ?」
「あそうそうか。分かったよ。転校生は食堂のこともあったし、あんましちかづきたいとは思ってないから。」
「分かってくれればいい。お前が気をつければ、周りは他の奴が対処してくれるからな。」
「周り?何言ってんだ?」
「まぁ聞かなかったことにして。じゃ俺戻るなー」
「あ、うん」
あいつがわざわざ言いにくるとは思ってはいなかったけど。転校生、それほど、存在が強いのか。
・・・、そういえば、
「なんで助けてくれなかったの」
「寝てた(嘘」
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