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プリントをコピーし、ホチキスで資料をとめる。
そんな作業を始めてから20分ほどは経っている。
俺を理科準備室に呼び出した担任の真壁先生。
通称ホスト教師に目をやれば、作業をする俺の横で優雅にコーヒーを飲んでいる。
そんなホスト教師を白い目で見る。
「仕事やれホスト」
「ホストいうな。先生に対する態度改めろ三沢。」
「態度改めてほしいなら生徒に雑用を押し付けて、呑気にサボらないでくれませんかね?」
「生意気な奴だな」
「生意気ですいませんね」
本当に怠けた大人だ。ある意味No.1取れるのでは。放課後に生徒呼び出して雑用を押し付けるなんて。こんな仕打ちないだろ。
理科準備室に漂うコーヒーの匂いに顔を顰める。
理科準備室がほぼ私物化してる。ソファはあるし冷蔵庫はあるしコーヒーメーカーはあるし。
さっきから換気してるけど、コーヒーの苦い匂いが取れない。
「この部屋消臭剤置きません?コーヒー臭くて誰も来やしませんよ?」
「ここには三沢しか来ない。」
「来たくて来てるわけじゃないんですけど。」
呆れてため息をつく。
ひとまず作業が終わったので自分も椅子に座る。そしたら、ホスト教師がこちらを見てくる。
「何です?」
「休憩してるところ悪いが、これ風紀に運んでくれ。」
「は?風紀?」
机に置かれた段ボール。中には大量のファイルが入っている。明らかに重そう。
「風紀ってどこ?」
「西校舎の3階だ」
「西校舎・・・いや、ここ東校舎の1階なんですけど」
ふざけてんのか。東校舎から西校舎ってどんだけ距離あると思ってんだ、反対方向だぞ。廊下ですら広すぎだって言うのに。
渋々段ボール箱を持つ。重っ。
「三沢のそんな腕じゃ、持てなさそうだな。」
「そうですよ、真壁先生が持ってってください」
「無理だ。5時から会議があるからな。」
「早く行けよ」
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