お茶会は危険ですか?

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お茶会は危険ですか?

 私の今世の名前は、マリアティアーナ・フォレスティア・ルーチェフォティア。  ノーチェフォティア王国の現国王のいとこにあたる公爵の父と第二夫人の母との間に生まれたルーチェフォティア公爵家の長女で、本妻の子である腹違いの弟がいる。  両親を事故で亡くして没落した母の生家、旧フォレスティア伯爵家が所有していた領地は現在ルーチェフォティア公爵家の飛び地領地になっていて、母と私はそこで暮らしている。  表向きは、王都の空気が合わなかった母が出産のために故郷に戻り、そのまま暮らしていることになっているけれど、元々は公爵が政略結婚相手だからと初夜しか義務を果たさず仕事の忙しさを理由に本妻との間に長らく子を授かれなかったことで、第二夫人として迎えられ初夜懐妊した母が本妻の嫉妬の対象になってしまったことが原因だった。  責任を感じた公爵が本妻ときちんと向き合った結果、弟が誕生、本妻と母との仲も改善傾向にある。  五歳の時に前世の記憶が戻った私は、ここが前世で何度周回しても誰を攻略しようとしても第一王子ルートのバッドエンドしか見られなかった乙女ゲームの世界だと気付く。  ヒロインが十五歳になり、王都の屋敷から学園に通うことになるところからゲームのシナリオは始まっていたけれど、私の記憶に幼少期の回想は一切なかったため、手探り状態の日々を送りながらバドエンシナリオの回避を目指している。  魔力属性を調べた日に知り合った近隣領地の貴族の子息三名が王子を除く攻略対象で驚いたけれど、共に魔法の基礎を学ぶうちに愛称で呼び合うくらい仲良くなったため彼らと交流は続いていて、社交界デビュー前に頼れる幼馴染みができたのは心強い。
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