美味しいが紡ぐ笑顔

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 元々ファイは将軍家出身で、ロザリーナの家系は王室付きの魔法使いも多く輩出してきた。  その二家……というか、ファイの父親とロザリーナの父親が学生時代に恋愛含めライバルだったことでちょっとギクシャクしてしまっていたみたいなんだけど、彼らも人の親だったようで、我が子の幸せを願うならば仲違いしていてはダメだと、あのお茶会で悟ったらしい。  まあ、父親二人が学生時代に恋していた気の強そうな金髪縦ロール令嬢っていうのが、ユリウスの母親だったと聞いた時は、政略結婚の闇の深さを見たというか……もしかして、父が仕事が忙しかったからというのは建前で、本当は二人に対しての引け目から……だったの?  とか色々余計なことまで考えてしまった。  親の恋愛事情に子どもが好奇心で首を突っ込むわけにはいかないわよね。 「けれども私は、これでよかったと思う。愛し合う者同士が引き離されるのは、結界の力を弱め、海の災いを引き寄せることに繋がってしまうからね」  ゲーム上のバドエンシナリオからは遠ざかっているといいな。  だけど今はそれよりも。 「それではまずは腹ごしらえをしましょうか。おなかが空いていては、力が出ませんもの」  美味しいものを食べて、笑顔でいられる。  そんな当たり前のようでいて尊すぎる日常が、この先の未来もずっと続いて行くことを願っているわ。
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