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「リア様、絶対に僕たちから離れないでくださいね」
クラウドが私の髪にそっと口付けながら耳元で囁く。
「今回は、リアに絡んできた相手の顔と名前を把握しないとならないからレインにエスコート役を譲るだけだ。リアのことは俺が守るからな」
私の片手を持ち上げて手の甲に口付けながらファイが私をまっすぐに見据えて告げる。
「要するに、今回のお茶会は、王子のご学友と婚約者候補探しも兼ねているということでしょう。そういうことですのでリア、お手をどうぞ?」
レインが微笑みながら差し出してくれた手に私の手を重ねた。
「はうぅ、リアおねえさま、お美しいですわ」
「ええ、姉上は、ぼくの自慢の姉上ですから。ですがミスティも、とってもかわいいですよ」
私が王都から離れた母の故郷で過ごしている間に、弟のユリウスは王都でかわいい婚約者と親睦を深めていたみたい。
ちなみにミスティはクラウドの妹で、学園の入学時期はユリウスと同じになるわ。
「ありがとうございます。うふふ、おねえさまとお揃いの髪飾り、わがままを言ってしまいましたが、間に合ってよかったですわ」
今回のお茶会に合わせて、私たちは髪飾り、弟や幼馴染みたちはネクタイピンやカフスボタンのデザインを一部合わせているの。
よく観察しないと気付かれない程度にさりげなくだけれどね。
お茶会には参加できなくて馬車で待機してくれている私の専属護衛のシンジュが、精霊としての力を使って授けてくれた魔石を加工したものなの。
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