甘い香りの誘惑

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「先ほどは、申し訳ございませんでした」 「もう気にしていないわ。でもミスティにも、ちゃんと謝ってあげてね?」  私はロザリーナにハンカチを差し出して、ロザリーナの手を引いて、みんながいるところへ戻る。 「お友達になりましたの。美味しいものは、みんなで食べたほうが、より美味しくなりますもの」 「リア、キミは……まあ、キミらしいですけれどね」  困ったように笑っているレインたち。  だけど、精霊のシンジュが授けてくれた悪意に反応する魔石は、私と手を繋いでいてもロザリーナを攻撃していないから大丈夫だよ。  このあとロザリーナはミスティにも謝罪して、ミスティも言葉が過ぎたと謝り、仲直りできたことで、和やかな交流会になったわ。 「わたくしは、リアおねえさまの妹ポジションをいただいておりますから、はじめての女友達の座は、あなたにお譲りしても構いませんわ」  ミスティがロザリーナにそんなことを言っていたっけ。  私は、ざまぁがしたいわけじゃないし、見たいわけでもない。  バドエンシナリオをぶち壊したいだけで、ゲーム上の悪役令嬢でも仲良くなれる道があるのであれば、そちらを選んで平和に過ごしたいと思っている。  誰が好き好んで顔を合わせる度に嫌味を言われたり罵られたり、ひっぱたかれたりしたいと思うのよ?  避けられるならば避けるべきでしょう?  だってこの世界は、この世界に転生した私たちにとっては、ゲームでも単なる物語の世界でもなく、自分自身で未来を切り開いていかなければならない現実なんだから。
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