1人が本棚に入れています
本棚に追加
嘘つきガール
あれから私とキョウヤは恋人になった。
今日はクリスマス。
これで問題なく戦えそうだ。
私は大好きな人の声を聞きたくて電話を掛けた。
「ねえ、ニュース観た?」
「どうしたの?」
「サンタクロースがトナカイを操って暴れてるんだって」
「なにそれ、エイプリルフールは終わったよ?」
「うん、分かってる。クリスマスは今日で終わらせる」
「どういう意味?」
「いや、なんでもない。ねえ、私キョウヤのこと好きだよ」
「俺もコウメさんが好き」
ありがと。
私は電話を切った。
力が湧いてくる、好き好きパワーだ。
髪が金髪に変わる。瞳が青く光る。
力が湧いて来た。
エイプリルフールみたいに同時に攻めてこなくて良かった。
そのとき通信が入った。
胸元の機器を耳元へ。
「コウメ隊員、様子は?」
「サンタクロース一体です。私、これ嫌です。宇宙人もひどいですよ、サンタクロースなんて」
「エイプリルフールのときなかなか荒らされたし、今回はさっさと倒すべきだ。彼氏がまたフライドチキンないって言い始めるぞ」
「好き好きパワーあるので倒せますよ。力漲ってる状態を平常にしたせいでみんな私のこと金髪、碧眼少女だと思っていますし?」
「俺だってひょろひょろ首相だと思われてる。混乱を最小限にしながら侵略者倒すのは骨が折れる」
「そうですよね。彼氏には髪を黒染め、瞳をコンタクトってことにしました。けど、あの能力者が最も好き好きパワーを得られる相手を見つける装置まで見つかってしまうなんて。でも誰でも赤い糸見れるのは欠陥だと思いますよ」
「そうかい?」
「使うの難しすぎですから。これでキョウヤが一番だって分かったので転校の件はなしです」
「元々そのつもりはない。で、サンタクロースはどう?」
「もう倒しましたけど?」
「君の髪は何色かね?」
「あ、まだ金髪」
「両想いでそれを自覚して恋人になった。より強力な能力者になったわけだ」
「……。狙ってたんですね?」
「ああ」
「もう。でもキョウヤと恋人になれたのでいいですけど」
無線を切る。
首相の方も手伝うことにしよう。
私は力を使い切りたい。
キョウヤの前では髪を黒染めした女の子の姿なのだ。
決して、侵略してくる宇宙人と戦う能力者の姿ではいけない。
「私、なかなかな嘘つきガールだよね」
最初のコメントを投稿しよう!