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「エイプリルフール」を止めよう
コウメさんと合流した。
ショッピングモールのフードコートである。
イチゴのクレープを食べている。
なお、改名部隊によって一時期電子辞書のハンカチになっていたらしい。イチゴが電子辞書、クレープがハンカチだ。
コウメさんが改名部隊を倒したため、イチゴのクレープである。
「もしかしてへんてこを解決する必要はなかった? 宇宙人も改名部隊も弱かったし」
「いや。キョウヤ、焼き鳥とかフライドチキン食べたいでしょ?」
「どっちでもいいんだ。フライドレタスも意外と美味しくてマスタードが合うって分かった。そうやってへんてこに適応できる気がするんだ。だから些細なことなんだ」
「そうなんだ。私は諦めて運命を受け入れる」
「嘘つき呼ばわりされるって」
「どうなんだろうね。私にとっては些細なことになったから」
「大丈夫なの?」
「うん。大好きな人がいることで強くなれるから。好き好きパワーかな」
照れるが。
好きな人に言われると頬が緩んでしまう。
「そっか。分かった。エイプリルフールを止めよう」
「うん。祈って」
「祈る?」
「私のために祈ったらエイプリルフールが四月一日を超えたんでしょ?」
「そうかもしれないってだけだよ」
「やってみないとね」
「分からないか。祈るよ」
俺は手を合わせて。
どうかエイプリルフールが終わりますようにって祈った。
気づけばテーブルに顔を伏せていた。
気絶みたいだった。
「収まったみたい」
「どうしたら分かる?」
「スマホのニュース見て」
「あ、エイプリルフールがない。消えたんだ」
「うん」
「あれ、コウメさんの目って黒っぽいっけ? 髪も茶色っぽくなってない?」
「これは力も一気に、……。じゃなくて、疲れてるんだよ。あははは」
「そうなのか」
「うん。まさか本当のことはね。キョウヤ、今日時間ある?」
「あるけど」
「ちょっとデートしようか?」
やはり疲れていただけなのだろう。
帰り際のコウメさんの髪は金髪だったし、目は碧眼だ。
とりあえずへんてこが治まって良かった。
結局、コウメさんは新学期から楽しく登校していた。
また同じクラスで良かった。
ただ違和感があるとすれば、誰一人お別れ会関連のことを覚えてなかったことだ。
それと。
新しいクラスでみんなと仲良くするために、金髪を黒染めして、瞳にはコンタクトを付けることにしたらしい。
少しだけ残念だ。
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