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「私なんて大怪我をしても、誰も気にしないわ。傷だらけの令嬢だって噂されているでしょう?」
「クリスティナ様を心配する声ばかりです」
――知っているわ。傷だらけでもいいから、結婚したいという貴族男性も大勢いることもね。
侍女ににっこり微笑んだ。
皇宮の医術師さえ治せない傷。
毎日、治療を受けているにも関わらず、切り刻まれたかのような醜い傷が体中に残っていた。
しかも、まるで私に罰を与えるように、今も痛みが続いているのだ。
誰かが皇子たちに守護魔法をかけていたせいで、こんなひどい目にあった。
――私の他に魔女か魔法使いが皇宮にいるの?
もしくは、皇帝陛下が魔女か魔法使いに依頼して、皇子たちに守護魔法をかけさせたか。
誕生祝いに子供に守護魔法をかけさせ、成長するまで守る王族や貴族も多い。
多額の料金が発生するのだけど、ルスキニア帝国であれば、簡単に支払える。
その可能性が一番高いわね。
誰かが与えた守護魔法は、私がかけた【魅了】を攻撃と認識した。
それで、反撃されたわけだけど……
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