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それが――
「最近の皇妃様は変わられました。威厳があり、皇妃らしく堂々とされていらっしゃいます」
――え? 私が冷たくされて当たり前だって言いたいの?
侍女はにこにこしながら、私に言った。
「皇帝陛下の寵愛が、クリスティナ様の元にあっても、皇妃様は気にされてないようですよ」
「そんなはずは……!」
「今の皇妃様は皇子様方の教育に力をいれていらっしゃいます」
そういえば、アーレント様とフィンセント様は絵を描いたり、武器の練習をしていると聞いている。
「ご家族の楽しげな様子が、とても微笑ましくてほっこりしますの」
花瓶の破片を集め終わると、侍女は一礼して去っていった。
残された私は呆然として、侍女の後ろ姿を眺めた。
「どうしてなの……? あと少しで皇妃でなくなるはずだったのに……」
いつの間にか、侍女の信頼が回復している。
ユリアナ様が皇妃でいる限り、私の恋は叶わないのだ。
だから、恋のおまじないで魔女を呼んだ。
それは【魅了の魔女】と名乗り、私は『もっともっと愛されるために』魔女と取引した。
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