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でも、私の願いはまだ叶っていない。
「恋が叶うって言ったくせに……!」
私の中にいる魔女を引きずり出して、『約束が違うわ』と責めかけた時――
「皇帝陛下の部屋の前で、なにをなさっているのですか?」
振り返るとそこには赤い髪と瑪瑙の瞳を持った男が立っていた。
彼は皇帝の補佐官エルナンド。
補佐官でありながら、騎士団の団長も務める。
皇帝陛下からの信頼は厚く、重要な地位を任され、皇帝陛下の右腕と呼ばれている。
「エルナンド様! 戦地からお戻りになられたのですね」
「はい。それで、あなたは? ここは皇帝陛下の部屋の前ですよ」
皇帝陛下に負けずとも劣らない冷たい目をしている。
「私をご存じありませんか!?」
「ああ、すみません。必要のないことは、忘れる性分でして。どこの貴族令嬢ですか?」
――元々、爵位をお持ちだったけれど、公爵になられて、社交界での人気は皇帝陛下と並ぶくらいなのに、独身なのもわかるわ。
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