12 愛され令嬢 ※クリスティナ視点

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 私とダンスを踊りたい男性貴族は大勢いたのに、それを断って、エルナンド様をお誘いしたこともある。  なのに、まったく記憶に残っていないなんて…… 「ファルハーレン伯爵の娘、クリスティナですわ」 「ああ。なるほど。そういえば、ファルハーレン伯爵が自慢していましたね。娘が可愛いとかなんとか」  お父様の感想ではなく、エルナンド様はどう思っているのだろうか。  まるで、私に興味がない。  もしかして、皇妃様派だから、私に冷たい?  それなら、納得がいく。 「あっ、あの! エルナンド様は皇妃様のことをどう思っていらっしゃいますか?」  きっと皇妃様の悪評を耳にして、困っているはず。  そう思っていたのに、にっこり微笑んだ。 「ルスキニア帝国に、皇子を二人も授けてくださった素晴らしい皇妃様です。早くこの国に馴染んでいただけたらと思ってますよ」 「でも、皇帝陛下と皇妃様の夫婦関係は冷めきっていて、とても寂しそうですわ」 「皇妃様はグラーティア神聖国のお姫様ですからねぇ。まあ、これから仲良くなれたらいいんじゃないですか」  
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