12 愛され令嬢 ※クリスティナ視点

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「エルナンド様。私は皇帝陛下の敵ではありません」  微笑みを浮かべ、エルナンド様を見つめる。 「味方です」 「そう……ですか。クリスティナ様は皇帝陛下の味方ですか?」 「はい。皇帝陛下も私に好意を持っていらっしゃいます」  頭がぼうっとするのか、エルナンド様は何度か首を横に振る。    ――心の隙がなくて、魔法がかかりにくいわ。   「敵でないのであれば……よろしいでしょう」  それでも、【魅了】の魔法はかかったようで、ホッと胸をなでおろした。 「私が皇帝陛下に近づいてもかまいませんよね?」 「はい」  皇帝陛下の右腕で、もっとも信頼されているエルナンド様を【魅了】し、味方につければ、なにも怖くない。 「エルナンド様。これから、私と仲良くしてくださいませ」 「もちろんです」 「嬉しい! ずっとエルナンド様とお話したいって思っていたんです!」  私が微笑むと、エルナンド様も微笑んだ。  あなたの心は私のもの。  皇宮内で一番愛され、好かれているのは私。  そして、皇帝陛下はいずれ私のものになる。  ――ねえ、そうでしょう? 『そうよ。クリスティナ。私が皇帝陛下から愛されて、ルスキニア帝国の皇妃になるのよ』  私と魔女が目指す場所は同じ。  ルスキニア帝国、皇妃の地位ただひとつ――
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