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ボールをくわえて、犬が戻ってくると、アーレントとフィンセントに撫でてもらい、ご満悦顔を見せていた。
「いーこ」
「よち!」
「いぬ、ぎゅー」
「えらい、いぬ、ぎゅう」
犬は賢く、アーレントとフィンセントから、ぎゅっと抱き締められても忠実にお座りをし、その体勢を崩さなかった。
――クリスティナが追いかけられていたのは、【魅了】の魔法で操っていただけだと思っていたけど、どうして怖がるのかしら?
「助けてください! エルナンド様っ!」
――あ、そういうこと?
タイミングよく現れたのは、騎士団長兼皇帝の補佐官であるエルナンドだった。
私が知っている未来の彼は、レクスに進言しすぎて不興を買い、国外追放された。
エルナンドがいなくなり、さらにルスキニア帝国は荒れた――だから、有能であることは間違いない。
「私が戦地へ行っている間、アーレント様とフィンセント様はずいぶんと成長されましたね」
クリスティナを無視して、犬と遊んでいるアーレントとフィンセントを優先する。
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