13 皇帝陛下の右腕

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 ボールをくわえて、犬が戻ってくると、アーレントとフィンセントに撫でてもらい、ご満悦顔を見せていた。 「いーこ」 「よち!」 「いぬ、ぎゅー」 「えらい、いぬ、ぎゅう」  犬は賢く、アーレントとフィンセントから、ぎゅっと抱き締められても忠実にお座りをし、その体勢を崩さなかった。    ――クリスティナが追いかけられていたのは、【魅了】の魔法で操っていただけだと思っていたけど、どうして怖がるのかしら? 「助けてください! エルナンド様っ!」  ――あ、そういうこと?  タイミングよく現れたのは、騎士団長兼皇帝の補佐官であるエルナンドだった。  私が知っている未来の彼は、レクスに進言しすぎて不興を買い、国外追放された。  エルナンドがいなくなり、さらにルスキニア帝国は荒れた――だから、有能であることは間違いない。 「私が戦地へ行っている間、アーレント様とフィンセント様はずいぶんと成長されましたね」  クリスティナを無視して、犬と遊んでいるアーレントとフィンセントを優先する。
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