13 皇帝陛下の右腕

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 駆け寄ったクリスティナは【魅了】の魔法をエルナンドに使った後なのか、自分への扱いに驚いていて、エルナンドの顔を見つめていた。 「えるぅ!」 「えりゅう!」 「アーレント様、フィンセント様! 会いたかったですよ!」    子供たちを抱きあげ、肩車をし、再会の喜びを全身で表現する。  その姿は、レクスとともに恐れられている男とは思えなかった。 「あ、あの、エルナンド様?」  クリスティナは負けじと自分の存在をアピールする。  エルナンドが気づき、にっこり微笑んだ。 「あ、クリスティナ様。大丈夫ですか?」  可憐な令嬢より、皇子たちを優先したエルナンドを見て、侍女たちは苦笑した。 「エルナンド様はお変わりないわねぇ」 「アーレント様とフィンセント様が大好きすぎて、周りが見えなくなっちゃうのよね」  子供たちに好意的でありがたいけど、私に対してはどうだろう。  エルナンドと目が合うと、向こうはうやうやしい態度で私に近づいた。 「皇妃様に帰還の挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます」
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