13 皇帝陛下の右腕

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「いいえ。無事、お戻りになられ、レクス様もお喜びでしょう」 「はい。戻ってきてから、ずっと忙しかったのもありますが、皇帝陛下の許可をいただかねば、皇妃様と会うわけにはいきません」  エルナンドはユリアナの立場を気遣い、皇妃として扱ってくれているようだ。  評判が悪い私が、夫であるレクス以外の男性と楽しそうにしていたら、周りからなにを言われるかわかったものではない。  彼が旅立つ前から、ユリアナの評判は良くなかったのだとわかる。    ――補佐を務めるだけあって、有能な補佐官ね。  エルナンドを敵に回すと面倒そうだ。 「あのっ! エルナンド様! 皇妃様の犬が私に……!」 「はい。じゃれてますね」  クリスティナにも遊んでもらおうと、ボールをくわえ待っている犬。  その犬のボールをエルナンドが手に取り、投げてやると、犬は喜んで追いかけていった。 「エルナンド様……。私、犬が苦手で……」 「クリスティナ様。犬が苦手なら、ここにいないほうがよろしいですよ。アーレント様とフィンセント様が、犬と遊んでいらっしゃいますから」
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