13 皇帝陛下の右腕

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 子供たちを両腕に軽々と抱き上げて、エルナンドは微笑んだ。 「える!」 「えるぅー」 「重くなりましたね。凛々しいお姿に幼き日の皇帝陛下を思い出します。お二人にお土産を買ってきたんですよ」  他は眼中に入ってないとばかりに、アーレントとフィンセントを可愛がる。   「なにがいいか悩んだんですけど。今、部下が持ってきますからね」  うきうきした口調で子供たちに話しかけるエルナンドを眺め、侍女たちがため息をついた。 「エルナンド様はかっこいいけど、口を開けば皇帝陛下のことしか言わないから……」 「残念な方よね」  たぶん、クリスティナに魅了されているはずだけど、アーレントたちへの愛が強すぎて、二の次になっているようだ。 「こちらをどうぞ!」  エルナンドが部下に持ってこさせたのは、本物の剣だった。  それも、立派な剣で刃に触れただけで、ざっくりいきそうだ。 「待って!? 子供たちには、まだ早いわ!」 「そうですか? 皇帝陛下は許可されましたよ」  弓矢に続き、本物の剣を与えようとするなんて、とんでもない父親だ。
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