13 皇帝陛下の右腕

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 エルナンドも平気な顔をしている。 「絶対、駄目です」  さっと取り上げ、それをハンナに渡す。  ハンナも怖い顔で、剣を受け取ってエルナンドに返した。 「エルナンド様、お可哀想。せっかくご用意された贈り物なのに、受け取っていただけないなんて」  クリスティナはエルナンドを見つめ、キラキラした目を向ける。  ――今、【魅了】の魔法を使ったわね。  でも、クリスティナは焦っているのか、使いどころを間違えている。  私は皇妃らしい堂々とした態度で、エルナンドに微笑んだ。 「受け取らないとは申し上げていません。見事な剣です。ですから、エルナンド様が保管していただけませんか?」 「保管を?」  エルナンドはクリスティナから目をそらし、こちらを向く。 「はい。それから、エルナンド様にお願いがあります。子供たちに剣の基礎を教えていただきたいのです」 「あっ! たしかに基礎からですよね。皇帝陛下と同じだと思ってました」  複雑な表情を見せ、申し訳なさそうな態度で剣を見つめた。
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