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――え? お友達? 伯爵令嬢のクリスティナが、目上の皇妃にお友達になろうなんて、気軽に申し出ていいの?
笑顔のまま固まった。
「クリスティナ様はお優しいから、ユリアナ様に気遣っていらっしゃるのよ」
「ユリアナ様は嫁いで三年になるのに、実家の権威を笠に着て、溶け込もうとしないものねぇ」
「それに比べて、クリスティナ様は親しみやすいし、使用人にまで優しいわ」
侍女たちが私に対する悪口を言っても、レクスは庇ってくれない。
そのとおりだとばかりに、黙って話を聞いている。
ユリアナは世界で最も古い国、グラーティア神聖国の王女として生まれた。
グラーティア神聖国は神殿との繋がりが強く、信仰心の高い国であり、小国でありながら人々への影響力は大きい。
今でこそ、大魔女と呼ばれる私も元は神に仕えた神官。
私が引き受ける依頼のほとんどは、神殿からのものばかり。
敵にならず、味方にならず、私と神殿は微妙な関係だ。
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