13 皇帝陛下の右腕

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「皇帝陛下は物心がついた時から、身を守るための方法を考えているような方でしたので」  気のせいでなければ、重い空気が流れた。  クリスティナは自分の【魅了】の魔法が無意味に終わったことを知り、動揺していた。  ――エルナンドがクリスティナに好意を持っていても構わない。そこそこの好感度があればいいだけ。  ユリアナが追い詰められたのは、皇宮の人々に誤解されて、嫌われてしまったからである。  クリスティナがレクスに愛されようが、こちらが皇宮の人々とうまくやれたら、どれだけ【魅了】しようが、関係ない話である。 「そうですか。いつかレクス様から、幼い頃の話をお聞きしたいですね」  突然、エルナンドが目を輝かせて私を見た。 「皇妃様は皇帝陛下にご興味がありますか!?」 「え? は、はあ、まあ……」  今のは社交辞令的な発言だったとは言い出せず、曖昧な返事をするしかなかった。 「今の皇妃様の言葉を聞けば、皇帝陛下はきっと喜ばれます」  どうやら、ユリアナはレクスに対して冷たい態度をとっていたようだ。
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