13 皇帝陛下の右腕

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 クリスティナともう一人、誰か別の人格が中にいるような気がした。    ――体の中に魂が二つあるとか?  ユリアナがいない私と違って、クリスティナは二人。  クリスティナが幻影系の魔法を得意とする魔女を取り込んだとしたなら、魔法を使えるようになってもおかしくない。  私がユリアナになった理由は不明だけど、魔女が肉体を奪う方法はある。  ただし、それは肉体の持ち主が、魔女に心から望まなければ、不可能な方法だ。   「皇妃様が皇帝陛下と話したいと思われているなんて、運命を感じますね」 「運命?」  エルナンドがわけのわからないことを言い出した。 「はい。皇帝陛下も同じ気持ちでいらっしゃいます。皇妃様をお呼びです」 「えっ!?」  ――なんのために、レクスは私を呼んだの?  ひくっと頬がひきつった。  断りたいけど、侍女たちの期待感がすごい。 「クリスティナ様を気に入られているのかと思っていたけど、皇妃様も大切でいらっしゃるのね」 「当たり前よ。皇子様の母親よ」 「そうよねぇ、やっぱり特別よね」
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