14 皇帝の望み

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 エルナンドの部下に案内され、レクスの部屋へ向かった。  子供たちはお昼寝中で、エルナンドはクリスティナとデート。  今ごろクリスティナは、屈強な男たちが汗を流して訓練するところを見学しているだろう。  ――筋肉好きなら、たまらない状況でしょうけど、クリスティナは完全に【魅了】魔法の使いどころを見誤ったわね。  それにしても、レクスはクリスティナとイチャイチャしているくせに、平気な顔で妻を呼ぶなんて、無神経にもほどがある。  レクスの部屋の前に立ち、扉をノックする。  ――返事がない。 「このまま、部屋に戻っていいかしら? 返事がないのに、勝手に入ったら叱られてしまうわ」 「ご安心を。皇妃様であれば、皇帝陛下は気分を害されたりしません」  エルナンドの部下は、私に気遣って言ってくれたけど、正直、ここからトンズラしたい気分だった。 「どうぞ」
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