14 皇帝の望み

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 クリスティナとイチャイチャしていたわりに、本と書類が散らばっている。  意外だけど、レクスは努力家で真面目に皇帝の仕事をこなしているらしい。 「それにしても、よくこんな本だらけのベッドで眠れるわね」  レクスを起こさないように、少しずつ片付けていく。  本の巻を揃え、ジャンルごとにわける。  眠る前まで読んでいたのか、レクスのそばに本が一冊あった。 「うわ……」  思わず声が出た。  その本のタイトルは、『魔法使用者との戦い方』である。  ――これは将来、私と戦う時に使用される知識ね。     焼却しようか迷っていると、本にはさまれた一枚のしおりに気づいた。  緑の葉を薄いガラスの間にはさみ、植物標本のように大事に保存されている。 「これって珍しい植物の葉じゃないわよね? どうして……」  ――もしかして、あの時の?    以前、私がレクスの髪に絡まった木の葉に気づき、とってあげたことを思い出した。  カーテンで隠れていた壁には、子供たちの絵が飾られ、私の手紙まで額に入っている。  適当に書いた私の手紙と子供たちの絵。
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