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まさかレクスが、大切に飾っているなんて思いもしなかった。
「家族……だから?」
父と兄を敵に回し、不遇な幼少期を送ったレクスが一番欲しかったもの。
ずっと手に入らなくて、いつか手に入れたいと思っていたものは、たったひとつだけ。
――冷酷な男だって思ってた。でも、本当は違うのかもしれない。
本を片付けたら、部屋から出ていくつもりだったけど、レクスが起きるまで待つことにした。
「すごい本の量ね。どれだけ読んでるのよ」
枕元にそびえたつ本の塔を崩そうと手を伸ばし、棚に運んでは、また取りに行く。
「まったく! 読み終わったら、ちゃんと片付けなきゃ……!?」
本に手を伸ばした瞬間、レクスがごろんと寝返りを打ち、私の体をつかんだ。
「ひ……っ!」
大きな声が出そうになって、慌てて手で口を塞ぐ。
枕と間違えたのか、私の膝に頭をのせ、すやすや眠っている。
――膝枕!? レクスに膝枕しちゃってるし!
落ち着くのよ、私!
今まで、幾度となく窮地をくぐり抜けてきた。
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