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なお、魔女と呼ばれるだけあって、神官と不仲であることを付け加えておく。
――皇帝レクスの戦の才能で、国の領土を拡大したのがルスキニア帝国。だから、歴史あるグラーティア神聖国とは真逆の存在なのよね。
真逆だからこそ、レクスは皇妃にユリアナを選び、愛のない政略結婚をした。
すべて、レクスがルスキニア帝国を繁栄させるためにやっている戦略的な行動で、そこに愛情はない。
「あの、皇妃様……。いかがでしょうか?」
クリスティナは人懐っこいスフェーンの瞳をキラキラさせて、私を見つめる。
――クリスティナと友達になるわけにはいかないわ。まだ彼女がどんな人間か、私はわかっていない。
この親切が心からのものなのか、それとも……私は聖女ではなく魔女。
頭からクリスティナを信用すると思ったら、大間違いである。
医術師を呼んでくれた親切なクリスティナ。
でも、腑に落ちないことがいくつかあった。
「レクス様。クリスティナを皇宮前まで送っていただけますか?」
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