14 皇帝の望み

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「毎日、頭痛に悩まされているんだが、お前が近くにいると痛みがやわらぐ」 「それを確かめたくて呼んだのですか?」  大魔女を頭痛止め扱いとはいい度胸。  でも、私がヘルトルーデだとバレてないようでホッとした。 「それもあるが、手紙の礼をしたいと思っていた。なにか欲しいものはないか?」  ――お礼!? そんな嬉しかったの!?  ますます、適当に書いたなんて言えなくなった。 「急に言われても思い付きませんわ」 「なにかあるだろう?」 「私の欲しいもの……」 「グラーティア神聖国に帰りたいという要望以外ならなんでも叶えよう」  レクスの瞳が、私の心を探るように見つめた。  ユリアナはレクスに『帰りたい』と言ったのだろう。  帰してしまえば、待っているのは別居か離縁である。  ――二人の皇子を残したまま。  でも、アーレントもフィンセントも母親を必要としている。  それがわかるから、レクスはその望みだけは叶えてあげられなかったのだ。   「……そうですね。自由に図書室を使わせていただけませんか?」 「図書室か」
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