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「はい。ルスキニア皇宮の図書室には、他国から収集した珍しい文献が多くあると聞いてます。それを読ませていただきたいのです」
「わかった。好きに使え」
レクスは机のところへ行くと、引き出しから鍵をひとつ取り出し、その鍵を私の手に握らせた。
「ありがとうございます」
「俺はお前と子供たちが、なにを望んでいるのかわからない。妻どころか家族を持ったのも初めてだ」
レクスは父と兄を殺して皇帝になった。
子供たちに与えられた本物の武器とエルナンドの言葉。
レクスの幼少時代は、常に死と隣り合わせで、平穏なものではなかったのだろう。
「わかりました。なにかあれば、申し出ます」
「ああ」
レクスの表情が大きく変わることはなかったけれど、私が返事をすると、少しだけ顔の険しさが消え、少し距離が縮まったような気がした。
でも――
「この手紙は……?」
クリスティナが送った手紙が、レクスの机の上に山積みになっていた。
「これか? クリスティナからの手紙だ。毎日届く。中身を見たいなら見ていいぞ」
手紙の束を私に差し出した。
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