1234人が本棚に入れています
本棚に追加
いずれ、戦うかもしれない相手に、守護魔法を与えるなんて、どうかしている。
でも、これ以上、レクスが苦しむ姿を見るのも嫌だった。
額から手を離すと、レクスは私を見つめて言った。
「これで終わりか?」
「はい。終わりました」
「そうか……。本当に触れるだけだったな」
なにを期待していたのか、ちょっと残念そうな顔をしていた。
「では、子供たちの世話がありますので、これで失礼します」
「子供たちの世話なら、乳母がいるだろう?」
「確かに乳母も侍女もいますが、完全な味方とは限りませんから」
レクスは驚いた顔をした。
少しはましになったとはいえ、クリスティナの【魅了】の効果は継続中である。
どこに危険が潜んでいるかわからない。
「信じていただけるかどうかわかりませんが、私は毒を盛られていたのです」
「……なぜ言わなかった」
「私に皇妃としてのプライドがあったからですわ」
「プライドだと?」
ユリアナの気持ちになって、私は話す。
「皇妃である私が、ルスキニアの人々から死を望まれているなんて、あなたには言えませんでした」
最初のコメントを投稿しよう!