14 皇帝の望み

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 いずれ、戦うかもしれない相手に、守護魔法を与えるなんて、どうかしている。  でも、これ以上、レクスが苦しむ姿を見るのも嫌だった。  額から手を離すと、レクスは私を見つめて言った。 「これで終わりか?」 「はい。終わりました」 「そうか……。本当に触れるだけだったな」  なにを期待していたのか、ちょっと残念そうな顔をしていた。 「では、子供たちの世話がありますので、これで失礼します」 「子供たちの世話なら、乳母がいるだろう?」 「確かに乳母も侍女もいますが、完全な味方とは限りませんから」  レクスは驚いた顔をした。  少しはましになったとはいえ、クリスティナの【魅了】の効果は継続中である。  どこに危険が潜んでいるかわからない。 「信じていただけるかどうかわかりませんが、私は毒を盛られていたのです」 「……なぜ言わなかった」 「私に皇妃としてのプライドがあったからですわ」 「プライドだと?」  ユリアナの気持ちになって、私は話す。 「皇妃である私が、ルスキニアの人々から死を望まれているなんて、あなたには言えませんでした」
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