15 令嬢のお願い

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 レクスの一言は絶大な効果をもたらした。  毎朝、美しい花が届けられ、食事の内容はがらりと変わって種類も量も豊富になった。  でも、食事は別だし、お茶の時間を一緒に過ごすこともない。    ――待遇がよくなるのはいいけど、家族の関係は変わらないわね。  そう思いながら、今日はレクスからもらった鍵を手に、図書室へやってきた。  ルスキニア皇宮図書室――目の前に広がる本、本、本。  その素晴らしい蔵書の数々に、うっかりレクスを褒め称えたくなった。  ――ダメダメ。レクスは悪逆皇帝(将来)なんだから、万歳なんて間違っても言ってはいけないわ。 「うわっ! これ、私でさえ見たことない魔法書! こんなのが読めるなんて、ルスキニア帝国万歳!」 「ばんじゃい」 「ばんじゃーい」
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