15 令嬢のお願い

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 ――そう思ったから、レクスに頼んでルスキニア皇宮の図書室を使わせてもらったのよね。    知識に魔力を加え、形にしたものが魔法である。  知識がなければ、魔力だけあっても魔法を構築できないのだ。  ルスキニア帝国には、レクスが支配した国々に保管されていた貴重な文献や魔法書の数々がある。  これによって、私はさらに強くなれるというわけだ。 「アーレント、フィンセント。魔法を使う時は慎重に、よく考えてから使うのよ。特に二人は皇子なんだから、人のために使うこと。いいわね?」  まだわからないかもしれないけど、言い聞かせておこうと思った。 「さすが皇妃様。そのとおりです」  私が二人に語りかけるのを聞いていたエルナンドが、遠い場所からうなずいた。 「アーレント様とフィンセント様は、皇帝陛下に似て優秀でいらっしゃいます。民に慈悲をもって接すれば、ルスキニア帝国史に残る皇帝となられるはずです」  ――残虐で冷酷な皇子じゃなく、素晴らしい皇帝として名を残す。  そうであってほしいと願うのは、私だけでなく、エルナンドも同じだった。
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