1198人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
レクスをエサにして、友達になってほしいというクリスティナの言葉をうやむやにすることにした。
クリスティナは私と友達になるより、レクスに近づくほうを優先すると考えたからである。
「俺が?」
「いけませんか?」
「いや、別に」
レクスのサファイアの瞳が、私の真意を探るように見つめている。
夫の気を引こうとした妻が、なぜか女性を送れと言い出す――おかしく思って当たり前だ。
けれど、私は気にせず言葉を続けた。
「それから、クリスティナに私のドレスを贈ってもよろしいかしら? 私のせいでクリスティナのドレスが泥だらけになってしまったでしょう?」
クリスティナがレクスに頼み込む時、ひざまずいたため、ドレスのスカートに泥がついている。
恥ずかしそうにクリスティナはうつむいた。
「袖を通してないドレスがあるはずよ。お詫びにもらっていただけないかしら?」
「そんな! 皇妃様のドレスをいただくなんて!」
「気にしないで。迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ないと思っているのよ」
侍女をちらりと見る。
最初のコメントを投稿しよう!