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「あの……エルナンド様? もう少し近づいても構いませんよ?」
レクスに私の護衛を命じられたエルナンドは、図書室の出入り口に控えている。
私が信用できないと言ったため、レクスが一番信用しているエルナンドを寄越したのだ。
それはいいけど、私たちがいる場所とエルナンドがいる場所は、もはや別室かなというくらい距離があった。
「皇帝陛下からの命令です。必要以上に近づくなと言われております」
「そ、そう?」
それはいいけど、声が遠い。
「ご自分が忙しくて、皇妃様やアーレント様たちに構えないから、私に嫉妬してるんですよ」
「そんなことはないと思うけど……」
「ありますよ。案外、子供っぽい性格をなさってます」
身近にいるエルナンドだから許される言葉だ。
レクスの部屋に入り、意外な一面があると知った今、エルナンドの言葉を否定できなかった。
「本もよろしいですが、そろそろ剣の練習をしなくてはなりませんね」
「もう!? 歩くのもやっとなのに早いわ!」
「あーれ、つよい」
「ふぃんも! おかーしゃま、守る」
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