15 令嬢のお願い

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 子供たちの言葉に感動しつつも、そうはいかないと首を横に振る。 「二人を守るのは、お母様の役目よ。今は魔法の基礎を練習しましょう」 「えー」 「けん、ざくー!」 「二人が転ばないで走れるようになったら、剣の稽古を始めていいわ」  残念そうな子供たちとエルナンド。  戦闘狂すぎる三人――レクスを入れたら四人は、ちょっとでも早く武器を使いたいようだ。 「むぅ。あーれ、ちゅよい」 「ざくぅ! ばしぃ!」 「駄目。まだ早いわ」  アーレントとフィンセントの膨らんだ頬を指で、ぷすっと突き刺し、へこませる。 「この本を読めるようになったらね」  どれだけ剣を習いたいのか、なんとか読もうとする二人。  これでしばらく静かになるだろう。  やれやれと思いながら、魔法書をめくる。 「……願いを叶える魔女のおまじない? かなり古いものみたいね」  古い本に書いてあったのは、魔女を呼び出すおまじないだった。  おまじないと侮ることなかれ。  古い時代の言い伝えやおまじないは、実際に効果があるものが残っていたりする。  
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