15 令嬢のお願い

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「なんですか? それ?」 「魔女を呼び出して、願いを叶えることができるらしいわ。でも、代償は自分自身よ」  興味がわいたのか、エルナンドは近づき、魔法書を覗き込む。 「それはおかしいですね。願いの代償に自分が死んだら、願いを叶えても意味がないのでは?」  エルナンドは首をかしげた。  自分の願いが叶ったかどうか見届けることもできない。 「神殿の管理下にない古い本は、おまじないといえど、危険な場合もあるわ。この本は神殿に預けて調べてもらいましょう」  神殿は大勢の神官を束ねる組織で、古代の魔法についての研究も熱心である。 「わかりました。この本は神殿に預けて調べさせます」  エルナンドに本を渡す。 「もし、これが本物で、魔女を召喚するおまじないとして、知られているものなら、禁止しなくてはいけないわ」 「皇妃様は魔法に詳しいですね」  エルナンドの言葉に深い意味はないはずだけど、私の正体は大魔女。  バレたかと思い、少し動揺してしまった。 「えっ!? そ、そうね。最近、興味が出て……」
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