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「アーレント様とフィンセント様が魔法を使えるようになったからですよね」
「そ、そうそう!」
「皇妃様は教育熱心でいらっしゃいます」
エルナンドは私に尊敬の眼差しを向ける。
「皇妃様が皇帝陛下と皇子を大切に思ってくださり、本当に嬉しい限りです」
「家族が大切なのは当たり前でしょう?」
「はい。でも、以前はアーレント様とフィンセント様に声をかけられたり、皇帝陛下と会話することも、ほとんどなかったので心配だったのですよ」
愛されない皇妃ユリアナ。
でも、愛されなかったのはユリアナだけだったのだろうか。
レクスもまたユリアナから、愛されていなかったとしたら……
――レクスの心の隙。
部屋に飾られた私と子供たちの手紙と絵が頭に浮かんだ。
レクスが手に入れたかったのは、世界なんかじゃなく、ささやかな幸せだったのでは?
幼い頃から、手に入れようと思っても手に入れられなかったもの。
それは家族。
「そういうことね」
レクスの心に隙がなくなれば、【魅了】魔法をどうにかできるかも――
「なにがだ?」
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