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ルスキニア帝国の皇妃が、新しいドレスを一着も持ってないとは考えにくい。
もしくは、すでにクリスティナが妃になることを考えた皇宮は、彼女のためにドレスを作っているかもしれない。
「かしこまりました……」
私と目があった侍女は、気まずそうな顔をして目をそらした。
――やっぱりね。
皇宮の人々は、クリスティナを妃に迎える準備をしている。
陰でユリアナを馬鹿にしていたのだ。
愛されない皇妃ユリアナ。
彼女は皇宮で働く者たちからも好かれていなかった。
民からの人気はなく、皇子の産みの母というだけの存在だった。
だからこそ、誰からも愛されるクリスティナが気に入られて妻になったわけだけど……
どんな経緯を辿ったか、レクスと双子は暴走し、人々を虐げる悪逆皇帝一家になってしまった。
「あなた、お願いしますわ」
にっこり微笑んだ私にレクスは戸惑いながら、うなずいた。
「わかった。送ろう」
「よ、よろしいのですか?」
顔を赤らめ、クリスティナはレクスを見つめる。
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