16 クリスティナの駆け引き

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 アーレントとフィンセントを抱き上げ、レクスは顔を近づける。 「そうか」  ほとんど表情は変わらないのに、なんだか嬉しそうな声だ。  そして、レクスは私に視線を移し、期待を込めた目で見る。  ――え? まさか、私にも愛の告白をしろと?  レクスの無言の圧力とみんなからの期待の視線に逆らえず、言うしかなかった。 「わ、私もレクス様と一緒にいたいですわ……」 「ずっと?」  レクスと戦って相討ちになった時より、屈辱を味わった気がした。 「え、ええ……」 「それならいい」  レクスの顔は見えなかったけど、アーレントとフィンセントが、レクスの顔をぺちぺち叩いていても、まったく怒らなかった。  告白をさらっと流され、台無しにされたクリスティナ。  このまま、おとなしく皇宮から去るわけがなく、すでに彼女は次の手を考えていた。  クリスティナは恐れている場合ではないと思ったのか、捨て身の覚悟でレクスの前に立ち塞がる。 「皇帝陛下。私が皇宮から去るにあたって、お願いがあります!」  その顔は、可憐なクリスティナのものではなかった。
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