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アーレントとフィンセントを抱き上げ、レクスは顔を近づける。
「そうか」
ほとんど表情は変わらないのに、なんだか嬉しそうな声だ。
そして、レクスは私に視線を移し、期待を込めた目で見る。
――え? まさか、私にも愛の告白をしろと?
レクスの無言の圧力とみんなからの期待の視線に逆らえず、言うしかなかった。
「わ、私もレクス様と一緒にいたいですわ……」
「ずっと?」
レクスと戦って相討ちになった時より、屈辱を味わった気がした。
「え、ええ……」
「それならいい」
レクスの顔は見えなかったけど、アーレントとフィンセントが、レクスの顔をぺちぺち叩いていても、まったく怒らなかった。
告白をさらっと流され、台無しにされたクリスティナ。
このまま、おとなしく皇宮から去るわけがなく、すでに彼女は次の手を考えていた。
クリスティナは恐れている場合ではないと思ったのか、捨て身の覚悟でレクスの前に立ち塞がる。
「皇帝陛下。私が皇宮から去るにあたって、お願いがあります!」
その顔は、可憐なクリスティナのものではなかった。
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