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クリスティナの希望が通り、パーティーは舞踏会に決まった。
その代わり、パーティーが終わったなら、クリスティナは皇宮を去るのが条件だ。
「おとなしく去るかしら?」
だって、中身は魔女(私もだけど)。
簡単に諦めるとは思えないわ。
難しい顔で唸っていると、アーレントとフィンセントがクッションを手に、キリッとした顔で私を見ていた。
「あ、眠くなったのね? もう休みましょうか」
「ちあう。あーれ、きらきらやっちゅける!」
「ふぃんたち、まほー、ちゅよい!」
「それは駄目。もっと大きくなって、魔法がどういう時に使っていいものなのか、わかったら使うのよ。今は楽しいって思える時に使いましょうね」
油断も隙もない。
魔法を使っていいのは、今のところボール遊びまでである。
「さあ、二人とも眠る準備をするわよ」
「やー! ちゅよくなる!」
「ぽーんするぅ!」
体力があり余っている子供たちは、眠る気配がなく、クッションと枕を投げて遊びだした。
顔にクッションがぶつかりかけて、それを風魔法で受け止める。
――いつもなら、ハンナがいるところ今日はいない。
休暇願いを出したハンナは、皇宮を出て実家に帰っており、まだ戻ってきていないのだ。
「ハンナ、早く帰ってきて!」
一人で子供たちの相手をするのは体力的につらい。
飛び交う枕とクッション。
風魔法で枕とクッションを操り、子供たちと遊んで体力を削る。
ご機嫌なのはいいけど、眠る気はさらさらないようだ。
魔法を使いながら。頭は別のことを考えていた。
もちろん、舞踏会のことである。
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