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「舞踏会は私に不利なのよね。向こうは【魅了】のプロだし、男女の駆け引きで私が勝つのは難しいわ」
男女の駆け引き――それは私にとって、今まで磨いてこなかったスキルである。
大魔女と呼ばれる私にも苦手なものはあるのだ。
その点、クリスティナは隙がなく、駆け引き上手だ。
レクスにエスコートされ、その流れでダンスを踊る作戦らしい(侍女談)。
やっと夫婦仲が、極寒から雪解けレベルになったのに、レクスがクリスティナをエスコートしたら、『愛されない皇妃』と呼ばれるコースに逆戻りである。
――決まっている未来を変えるのは、簡単ではなさそう。
レクスから、エスコートもダンスもされない私を見た貴族はどう思うだろう。
以下想像。
『皇帝陛下が皇妃様をエスコートされてないわよ。冷めた夫婦っていう噂は本当だったのね』
『明るく可憐な伯爵令嬢のほうが、お忙しい陛下の心を癒すのではないかしら?』
『気に入っていらっしゃるのであれば、クリスティナ嬢を皇宮に残してはどうか』
――どう考えても、そうなるわよね。
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