17 寝室の護衛はいりません!

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「舞踏会は私に不利なのよね。向こうは【魅了】のプロだし、男女の駆け引きで私が勝つのは難しいわ」  男女の駆け引き――それは私にとって、今まで磨いてこなかったスキルである。  大魔女と呼ばれる私にも苦手なものはあるのだ。  その点、クリスティナは隙がなく、駆け引き上手だ。  レクスにエスコートされ、その流れでダンスを踊る作戦らしい(侍女談)。  やっと夫婦仲が、極寒から雪解けレベルになったのに、レクスがクリスティナをエスコートしたら、『愛されない皇妃』と呼ばれるコースに逆戻りである。  ――決まっている未来を変えるのは、簡単ではなさそう。  レクスから、エスコートもダンスもされない私を見た貴族はどう思うだろう。  以下想像。 『皇帝陛下が皇妃様をエスコートされてないわよ。冷めた夫婦っていう噂は本当だったのね』 『明るく可憐な伯爵令嬢のほうが、お忙しい陛下の心を癒すのではないかしら?』 『気に入っていらっしゃるのであれば、クリスティナ嬢を皇宮に残してはどうか』  ――どう考えても、そうなるわよね。
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